ナンスの新譜が良すぎる。
声優でTrySailのメンバーである夏川椎菜氏通称ナンスが2022年2月9日にリリースした2ndアルバム『コンポジット』。
い〜や良すぎる。
全曲通してあまりにも素晴らしい構成だったので居ても立っても居られず筆を執りました。
頭から一曲ずつレビューを書いていきます。
1. ハレノバテイクオーバー
エンジン。最高のスタート。
軽やかなメロディーとこれぞ夏川椎菜と言わんばかりの暑苦しい強めのメッセージが次々に流れ込んできて体ホカホカ顔ニチャニチャ。
曲の最後の方にリズムが遅くなってきて急に現れるナンスのASMRでブチっと途切れてすぐ次の曲が耳に入ってくる構成なんて誰が予想するだろうか。
「誰のものでもない人生を生きてくれ
君に言ってんだよ 聞いてんの?」
聞いてます。ありがとうございます。
2. 烏合讃歌
1曲目のエネルギーを受けて高速スピンがかかったような最高の2曲目。
作曲は「ワルモノウィル」「ロジックルーパー」「ステテクレバー」「イエローフラッグ」など数々の名作を楽曲提供してくださってきた(してくださってきた?)HAMA-kgnさん。ナンスが腹の中に日々貯めてきたドス黒い世界へのカウンターパンチをその威力は保ったまま大衆に向けて昇華できる天才。ナンス、話聞こか?
「難点は僕ら全員が 弱いパンチしか持たないこと
判定を待つまでもなく 一発KOもされちゃうこと」
同意
3. アンチテーゼ
みんな大好きアンチテーゼの時間だああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
夏川椎菜といえば劣等感。劣等感といえば夏川椎菜。とまで言わしめた彼女のいわば代表的作品的なヘイトスピーチ。もう歌詞で劣等感ってめちゃめちゃ言っちゃってるし。尖りに尖ったトゲトゲの塊の棍棒で4分18秒ずっとぶん殴られ続けているみたいな感覚。カタクリの武装色パンチみたいな。ヘッドホンで音量MAXにして夜走りながら聴いてるときの全能感は異常な神曲。今後のナンスの代表曲と言ってもいいだろう。言わせてください。
作曲はナンスがチャンネル登録していて毎日楽曲を聞いていたというボカロPのすりぃ氏。自分はボカロPって普段全く聞かないのでアレだけど、なかなかやるじゃねえか。これからもウチの椎菜をヨロシクな。
「いつだって感情制限解けるまで 僕はひとりぼっちでただ泣いていた
その人生さえも喰らうほど 強く強く足掻いてる
あぁ劣等感のジレンマだ 僕を救済して、目を覚まさして
その感情制限解けるまで 無駄に無駄に吠えるんだろう
ここで今も吠えるんだろう
Wow...」
Wow...
4. トオボエ
疾走感エグ目の3曲が続いて少しトーンを落とした箸休めのお新香的な楽曲。ただこのお新香、激辛につき──────。
サビの後の頭の後ろに抜ける高音が気持ち良すぎて毎回笑顔でのけぞわずにはいられない名曲。
「大立ち回りの結果なら
多少の故障だってしたいだろ」
全然そうは思わないけど、夏川さんがそう言うなら、いいよ、オレ──────。
5. RUNNY NOSE
5曲目なので間奏でGO GO GO GOって歌って教えてくれてる非常に親切な曲。忙しいオタクのあれ今これ何曲目だっけを解消した画期的なサービス。
ハードなリフと疾走感を落とした気怠げな夏川さんの悪態がテラ萌えスなハードロック。筆者の記憶が正しければRUNNY NOSEって”鼻水”って意味だったような。
「はしたないからとずっと
しおらしくいたけど
待って? 今しかない
うつろぎ理解されたい」
これはアイドル声優という肩書きから常に周りに求められていたかわいらしいイメージから脱却したい、というナンス渾身のチクチク言葉だろう。聞いてくれ業界人。夏川椎菜は、毒を孕んでいる。
6. サメルマデ
どうしたの椎菜ちゃん急に可愛い声で。オタクの気持ちを弄ぶのがそんなに楽しいかい
?そんな感じの今までとは少し違い喉を絞った萌えボイスソング。ただ歌詞はやっぱりお得意のお気持ち表明型。ひらがなみたいな歌い方なのに歌詞見ると漢字ばっかり。なんだこいつ。もうそんな怖いこと言うのやめない?やめません。彼女の名前は夏川椎菜。
「明日に消えていくだけの言葉でしか
武装できないならもう色なんていらないから」
はい…すみません…
7. 奔放ストラテジー
これ好き〜!(語彙力)
縦ノリの曲が続く中でゆらゆらと横に揺れながらテンポとる曲調が7曲目で給水ポイントのように差し込まれる構成には見事と言うほかない。
サビのメロが非常に好み。あとAメロのタンタンタン♪っていう韻?もうちょっと説明できないから聞いて。好きなの。俺をわかって。
「偶然も運命も一体で 転がり続ける
奔放な私を許してよね」
許さないよ…
8. ミザントロープ
来ました。2022年ネ申J-POPランキング堂々の第一位がこの曲です。向こう3年これを越える楽曲が誕生するとは到底思えないネ申曲。
アーティストとしてのナンスのテーマに”劣等感”があると前述しましたが、今まではその劣等感に復讐やリベンジ・カウンターというイメージで殴りかかってくるような危険な雰囲気を帯びた曲で攻めてきていましたが、こちらの曲は劣等感に退廃的なローブを纏って現れたといった印象。諦めというか、一旦この劣等を遠目から俯瞰して見てみようといった夏川椎菜(25)の大人としての落ち着きみたいな境地を垣間見せてきてる。
なんかこの曲を聴いた時にイメージしたのは、閉園後の遊園地。入ったことないけど。怒られるし。
子供の頃に想像した大人に、今なれていますか?
そんなメッセージを感じる。28歳こどおじフリーター童貞の自分に刺さる刺さる。やめろカカシ。
「夢まぼろしの寓話(はなし)言い聞かせて 信じてきたけど
これ以上騙せない きらきらの中身」
やめろ。
ちなミザントロープの意味は、
世間の人とつきあうのをきらう人。
やめろ。
9. ボクはゾンビ
気分一転の明るめの曲。ミザントロープな人間はもうゾンビと一緒だからボロボロのままでいいので理解者(仲間)増やすっきゃないっしょ。っていうようなことを歌ってくれる椎菜ちゃん。
ちょっとこの曲は正直よくわからないです。
10. すーぱーだーりー
これ好きぃぃぃぃぃぃぃぃ(キモ咆哮)
やっぱりどれだけチクチクしててもアイドル声優さん、めちゃくちゃかわいい声の曲。
今までのどれとも違うゆるい感じの曲調が助かる。かわいい。
メンヘラな歌詞も愛おしい。椎菜、お前俺の船乗れ。
「季節よりもうつろうけど
はぁ…ダメか こんな私じゃ
それでも、このままでいいかなぁ?」
いいすぎる。
11. That's All Right!
軽くてテンポのいい、珍しく明るい曲。急にどうした。
どことなく00年代初期のような懐かしみも感じる。BENNIE KのコカコーラのCMの曲のようだ。ファッションも00年代リバイバルがじわじわと波に乗っているので音楽業界もその波に乗るムーブがあるのならばこれは先駆け的な実験的な楽曲だ。それをアイドル声優の曲でやるなんて大したやつだ。作曲者はなんという者だ。山﨑真吾。なんとガブリールドロップアウトの奇曲、「ハレルヤ・エッサイム」の作曲者ではないか。
「人生ってアトラクション 上げてくかモチベーション」
さっきまで私はゾンビとか言ってた奴がこんなこと言い始めたら危険信号。
メンヘラ彼女夏川椎菜との擬似恋愛体験の転の部分にあたる躁の部分。ここを無事乗り越えて、ぜってえに、ハッピーエンドを迎えてやるんだ。
12. ナイトフライトライト
引き続き明るくノリの良いテンポ。
後半はまた少しナンス特有の退廃を感じさせるエモめなフェードアウト。流れを汲んでラストの曲へパスするつなぎの曲と言った印象。
そう最後の曲は・・・
13. クラクトリトルプライド
大トリ大人気シングルクラクトリトルプライドキタキタキタキタキタキタキタキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
2021年1月6日発売の5thシングルのタイトル楽曲。
壊れた小さなプライドって意味だろうか。挫折を自ら理解した上で再起できる彼女は強い。あとかわいい。
このアルバムを通して今まで得てきた椎菜とのたくさんの思い出を浮かべては解き放つ、最後にぴったりの楽曲と思った。ブチギレて毒を吐き切って一旦大人しくなってゾンビになってゆったりして吹っ切れて楽しくてやっぱり私は夏川椎菜なんだってのを再確認し、明日からも歩いていく。そんな解釈(乱暴)。
「わかってる もう一生
顔が赤くても 汗だくになっても
停まれないまらない
それが”らしい”探して」
この部分好きぃ・・・・・・
背伸びして反発しまくった小さなプライドを振りかざして戦ってきたのも全部自分。
恥ずかしくてみっともないけどこれが私じゃい!ってことだよな。うんうんわかるよ。じゃあホテル行こっか。
まとめ
いかがだったでしょうか。完璧な流れだったと思いませんか。
ちゃんとストーリーになってるのがすごいですよね。
てかナンスってこんなに良かったっけ?単推しになりそうだ。
筆者にとって夏川椎菜さんのイメージはこれ
詳細はわからないがなんか嫌なことがあった人っていうイメージだった。
また、以前このようなツイートをしたことがある
顔
— 結衣3@大西さん神推しフォロバ100% (@yuisenpaito) 2022年1月20日
天>ナンス>もちょ
曲
もちょ>天>ナンス
ラジオ
ナンス>天>もちょ
だよなンゴ!
夏川椎菜=ただのオモシレー女。だと思っていたが、認識を改めさせられた。好きだ。
今後もナンスいや椎菜に注目して追いかけていこうと強く思わされた。そんなきっかけとなったネ申2ndアルバム「コンポジット」好評配信中。