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  小学二年生の秋、校門前でうんこを漏らした。当時コナンの犯人の黒い人が怖かった俺は学校のトイレが怖くて行けず、我慢の限界の末…だった。

 

正確には、漏らし、ジャージ素材の半ズボンの裾から、コロッと零れ落ちた。小さい頃からトランクス派だったのが仇となった。

 

「はまっこクラブ」という学童保育みたいなのの帰りだったので、遅い時間で他の生徒は少なく、その時は奇跡的に周りに誰も人がいなかったので、後処理を一切せずにめっちゃ走って帰宅した。

 

家に着く直前でおばあちゃんに遭遇した。俺はうんこ漏らしたことを知られたくなくて、持っていたデジモンの手提げ袋で足に少しついてしまったうんこを隠し、おばあちゃんを無視して急いで家の中に入りトイレに駆け込んだ。

 

翌日登校すると昨日のうんこがカピカピになってまだ残っていた。俺は(いつまでも残り続けるのかな)なんて考えて絶対に隠し通さなきゃだなって思った。

 

三四時間目、授業で近くの公園にどんぐりを拾いに行くことになった。先生の後に二列になってクラスのみんなで校門をくぐった。

先生は驚いた声で

 

「うわっ。みんな。ここにうんちがあるから、気をつけて。…これ人のうんちよね…学校の前なのに、こんなことする人がいるのね…」

 

って言った。俺は目がビショビショになったが、雫は零さなかった。ばれたら終わりだったから。みんなに混じって「キッショ〜!」と自分のうんこを罵った。

その日どんぐり拾った数クラス一位になった。糞を漏らしてさっきまでボロクソ言われていた人間が、木の実を拾いまくって拍手を浴びている。限界だった。何をしてても"うんこを漏らした"という事実が俺を責めた。学校へ戻るときも、また明日登校する時も、みんなが俺のうんこを罵倒するのを目の前で味わう地獄が広がる。

 

またみんなで二列を作り学校の方に戻る。門が見えてくる。殺しちくり〜という思いを胸にマイうんこを目視した。

 

ない。

 

うんこが、なかった。

 

茶色い絵の具を拭き取った跡みたいのだけになっていた。

みんな騒いで(?)た。

 

「うんこなくなってるーギャハハハ」

 

「きっとご近所の方が片付けて下さったのね」

 

もう辛い想いは終わるんだ…と安心して鼻水をすすった。

 

 

家に帰る。うちは両親が共働きだったので、おばあちゃんがたまにうちに来て家事をやってる。この日もいた。

 

「おかえり」

 

「んー」

 

てきとーに返事をした。

 

 

「今日バァバ、たまたま学校の方まで行ったんだけどね」

 

 

「校門の前に犬のうんこがあったからさ、いやだよと思って片付けてきた」

 

 

「んー」

 

またてきとーに返事をしてテレビをつけた。

 

 

酒盛、小学二年の秋だった。